the pillows 『PIED PIPER GO TO YESTERDAY』
これまでのthe pillowsを振り返り
これからのthe pillowsを確かめる
これからのthe pillowsを確かめる
ピロウズの2本のライヴを収録した、2枚組DVD。今年結成20周年を迎えるピロウズが、「LATE BLOOMER SERIES」と題して送るアニバーサリー企画の第一弾としてリリースされた。
1枚目に収められたのは、彼らが2007年暮れに行った「TOUR LOST MAN GO TO YESTERDAY」のライヴ。2枚目は、08年の「PIED PIPER TOUR」のライヴ。会場はどちらもZepp Tokyoである。
収録曲は1枚目が25曲、2枚目が27曲と盛り沢山なのだが、両ライヴで重複しているのがわずか2曲しかない。つまり計50曲に及ぶ彼らの演奏が収められている。しかもそのうち1曲はCD未収録の新曲だ。
また、「LOST MAN〜」は過去のシングル及びカップリング曲をメインに演奏したベスト盤的ツアー、「PIED PIPER〜」は最新アルバムの曲をメインに演奏したツアーと、ライヴのコンセプトにも重複がなく、これまでのピロウズと現在のピロウズという観点からも楽しむことができる。2枚目には楽屋風景などの特典映像も入っており、質量ともに豪華なDVDだ。
大好きなバンドはたくさんあるのだけど、ピロウズは僕が世界で一番好きなバンドで、あまりに好き過ぎて何をどこからどう書いていいかわからないくらいにもう本当に好きなのである。
「○○が好きなんだよ」と言い続けると、十中八九聞かれるのが「○○のどこが好きなの?」という質問。だがこの問いかけは、○○を好きで好きで仕方がない当人にとっては拷問に近い。
あれこれ好きな理由を考えてみるのだけれど、どれもが想いに不十分。それどころか「ここが」「あれが」と細分化することに罪の意識すら感じてしまう。だけど相手にもその○○を気に入って欲しいからなるべく上手に説明したい。だから内心では「好きな気持ちに理由なんかねえ!」と思いつつ、「全部が好き!」と答えて、「ああ、きっと伝わってねえなあ」という悔しさを噛みしめるしかない…。
だからピロウズも、どうして好きなのか、どこが好きなのか、納得できる表現が、どうもできないのだ。
僕が彼らと出会ったのは2000年だから、もう10年近くも前のことになる。もちろん、毎日欠かさず聴いているわけではない。時には何ヶ月も聴かないこともある。けれど出会ってから今日に至るまで、僕はずっとピロウズとともにあった。
彼らの20年間のキャリアは、決して順風満帆だったわけではない。メンバーの離脱や、音楽性の模索、思ったような評価が得られない時期を経て、ゆっくりとゆっくりと支持を広げていった。
ボーカル&ギターでありソングライターの山中さわおは、自身の感じることをそのまま歌にしてきた。だからピロウズの楽曲には、彼の揺れ動く感情とバンドが過ごしてきた時間の全てが詰まっている。
その不器用なまでの生々しさに、僕は何度となく救われた。詞のなかに登場する「僕」は僕のことであり、メロディはいつも僕の心の輪郭をなぞっていた。ピロウズの歌は、僕の歌でもあったのだ。だから「どこが好きか」なんて、上手く説明できないのだ。
今後もこのブログでピロウズを紹介していきたい。