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【第4回】ピカソ美術館

役者のフジサワパンチです。
アートレビュー、今回はスペイン・バルセロナにあるピカソ美術館からお送りします。





ピカソと言うと、“ゲルニカ”に象徴されるような、抽象的な作品を思い浮かべる方が多いと思います。




キュビズムを確立した晩年の作品は、いかにもピカソ!というような作品が並んでおりますが、ピカソが非常にデッサンが上手な画家だったということも有名なお話です。

ピカソ美術館では時代順に作品が飾られていて、幼少期の頃の作品から眺めることができます。
中学生の時に描いていたという作品のレベルの高さにまず驚きます。
その頃は一切抽象的な表現はないのですが、ただ上手いというのではなく、すでに作品に迫力を感じます。

しかし、ピカソもコンクールに落選することもあるし、若くから順風満帆だっというわけではありません。
病気になって地方に療養に行っていた時期もあったそうです。
ちなみにそんなピカソの逸話を日本語の音声ガイダンスで詳しく教えてもらえるのも、ピカソ美術館の魅力です。(※音声ガイダンスは別途有料)

そしてピカソの大きな特徴の一つ、その作品の多さ!

ピカソ美術館だけですべての作品を展示しているわけではありませんが、様々な感性を持った多様な作品群は、非常に充実感を得られます。


数多くの作品の中でも、印象的だったのが“ラス・メニーナス”。




これはベラスケスという作家が描いた同名の作品からインスパイアされて創作された作品です。
ベラスケスの作品は、スペインの伝統的な美術館、プラド美術館に収蔵されています。




見比べると、構図以外は全く似ている箇所が見当たりません。
他のピカソ作品もそうですが、一見すると感覚任せに出鱈目に仕上げているようにも感じてしまいます。
実際、それまでピカソは感覚的に感性で作品を描く画家だと思っていました。
ただ認める人がいたから、それが芸術として今の時代にまで伝わっているのだと。
そして、個人的には感覚的に描かれた作品への理解が薄く、ここに来るまであまりピカソの作品に興味を持てずにいました。
けれど、今回一気にピカソのファンになってしまいました!

この“ラス・メニーナス”は、作品が完成するまでに何十枚もの習作が描かれています。
習作というのは、一枚の作品を完成させるためのパーツのようなもので、作品に描かれている人物などを部分的に別で描いていくものです。
ピカソは自分の中で渦巻く感性を一枚の作品に自分の納得のいく形で表現するために、何枚も何枚も習作を描いているのです。
習作も飾ってありましたが、それ自体も非常に迫力がありました。
しかも、それをわずか2、3ヶ月でやってのけているのです。
何メートルもある大きな作品を仕上げているのに。

そうしてぼくは初めて納得しました。
やはり認められる人間、周りの人間が魅了される人間は、他の人がやらない、もしくはできないような行動や努力をしているのだと。
そして、それをあくまで自分の自然な営みとして行っているのだと。

ピカソ、すげえかっこいい!

何事も知らないままの食わず嫌いはよくないですね。。。



その日、若かりしピカソが溜まり場にしていたという、『クアトロ・ガッツ』(和名・四匹の猫)に寄って行きました。




まだ20歳前で、無名だった頃、ここで若いアーティスト仲間と芸術論を展開していたそうです。
きっと今のぼくらと変わらないような話をしていたのかもと想像すると、なんだか嬉しくなってしまいます。
それと、もっとがんばらなきゃなあ、と、励みにもなりました。


ピカソ、あなたに負けないよう、ぼくらもとにかく作り続けますよ!


(c) 2011,08,31, Wednesday 10:05 AM | comments (0) | trackback (0)
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