広瀬正「マイナス・ゼロ」
ぼくの記憶にないことは、ぼくの意志で左右できたはずなんだ




貸出期限表のあたまは、この本が発売された昭和52年です。
わたしが産まれる前に、この本を読んでた人がいるんだなぁ…。
 

一言でいうとタイムトラベルものです。
タイムトラベルっていうと高校生の時に読んだ「夏への扉」の印象が強くて、
どうもうさんくさいイメージがあって避けてたのですが、
ほら今、読まず嫌いやめようキャンペーン中だから。
それにしても「夏への扉」好きな人、多いよね。嫌いって言いにくいもん(言ってるがな)。
表紙買いしちゃう気持ちはわからなくもないけど。

時間ものでも北村薫の「スキップ」は好きなんだよね。あ、あれはタイムトラベルじゃなくてタイプスリップか。
「スキップ」は清々しいよ!
「ターン」「リセット」はちょっと恥ずかしくてダメ。
「盤上の敵」読みたいなぁ。北村薫といえば、加納朋子も読みたいと思ってたんだよね。読みたい本ばっかりあって時間がないから困ってしまう。

ところで「マイナス・ゼロ」ですが、非常に精巧な作りの小説でした。
最後のほうまで読んで、「そうか!そうくるか!」ってもう一度前のほうを読み返したり。
恥ずかしながら、検索して解説してるサイトを見つけて、やっと理解できた部分もありました。
妻?娘?あしながおじさん?未来人?外国人?出征?
読んでるうちに、ぐちゃぐちゃに絡まったネックレスを解くみたいな快感が味わえます。
その一方でタイムマシンが出現する高さにてんやわんやしている、いい意味での「しょぼさ」が親しみやすいんだよね。

登場人物ではレイ子さんとタカシが好きです。
実際、知り合った人に「実は俺、未来から来たんだけど」って言われても、
信用すべきかなんて、冷静に判断できる自信ないなぁ。
もちろん何かの拍子に過去に飛んでっても、信じてもらえる自信もない。
未来に飛んでったら、未来人はタイムマシンを理解してるだろうから心配ないけど、
過去に飛ばされたら、この主人公みたいにちゃんと暮らしていける見込みはないな。

…なんか手に職つけとくか。
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